【銘柄分析)オールカントリー(ACWI)の2025年における躍進を分析 米国編

個別銘柄研究

2025年は、オールカントリー(以下 オルカンという)のパフォーマンスが驚くほど良かったことから興味を持ち、数多くの資料から分析し、まとめてみました。

まず前編としてオルカンの6割を占めるアメリカについての分析です。

第1章 序論:2025年、世界市場の「回復」と「再加速」

2025年の世界株式市場は、専門家による事前の慎重な見通しを覆し、歴史的な拡大を記録した一年となりました。多くのエコノミストが景気後退やインフレの再燃、地政学的リスクによる分断を懸念する中で、オルカンは、米ドルベースで年初来20%を超えるリターンを叩き出し、投資家の期待を大きく上回る成果を上げました。このパフォーマンスは、単なる米国市場の独走によるものではなく、世界経済の多極的な成長ドライバーが機能し始めたことを示唆する極めて重要な転換点でした。

投資信託「オルカン」の成績が際立った背景には、生成AI(人工知能)革命が「期待」から「実装」のフェーズへと移行し、その恩恵が米国のメガテック企業だけでなく、半導体製造装置を持つ欧州、メモリを供給するアジア、そして資源を供給する南米へと波及したという構造的な変化が存在します。さらに、長らく低迷していた一部の新興国や欧州周辺国が、独自の構造改革や金融環境の好転を背景に驚異的なリターンを記録し、グローバル分散投資の有効性が再確認された年でもありました。

本分析では、2025年のオルカンの好成績を牽引した要因をマクロ経済、セクター、そして個別企業のレベルまで詳細に分解・分析してみます。特に、米国以外の市場でどのような「地殻変動」が起き、どの国や企業が指数の押し上げに貢献したのかを徹底的に検証。その上で、2026年に向けて世界経済が直面する「大転換点」を展望し、AI投資の第2フェーズ、金融政策のダイバージェンス(方向性の違い)、そして地政学的再編の中で、次に飛躍する国と地域を特定したいと思います。

第2章 2025年 MSCIオールカントリー(ACWI)のパフォーマンス要因分析

2.1 2025年の市場環境とオルカンの定量的成果

2025年のオルカンのパフォーマンスは、先進国(MSCI World)と新興国(MSCI Emerging Markets)の双方が力強い上昇を見せた稀有な年だったと言えます。米国のS&P500指数やNASDAQが史上最高値を更新し続ける一方で、米国を除く先進国市場(ACWI ex USA)や新興国市場もまた、それぞれ固有の要因により大幅な上昇を遂げました。

指数名称年初来リターン
(2025年11月末)
特徴・ドライバー
MSCI ACWI (オールカントリー)+21.56%AIテーマの世界的拡大、ソフトランディング達成
MSCI World (先進国)+20.59%米国の堅調さと欧州周辺国の躍進
MSCI ACWI ex USA (米国除く)+28.53%米国市場を凌駕するリターン。韓国・欧州の復活
MSCI Emerging Markets (新興国)+30.41%韓国、ブラジルの急騰が寄与

上記のデータが示す事実は衝撃的ですよね。一般的に「米国株一強」と語られがちな現代の株式市場において、2025年は「米国を除く世界(ACWI ex USA)」のリターン(+28.53%)が、米国を含むACWI全体のリターン(+21.56%)を上回る局面が見られたという現象。これは、オールカントリー型の投資信託を保有していた投資家にとって、米国偏重のポートフォリオよりも優れた分散効果とリターンをもたらしたことを意味しています。

2.2 上昇を支えた3つの構造的柱

オルカンの成績が向上した背景には、以下の3つの主要な構造的要因が存在していると考えられます。

2.2.1 「AIスーパーサイクル」の世界的拡散と深化

2023年から2024年にかけてのAIブームは、主に大規模言語モデル(LLM)の開発競争と、それを支えるGPU(画像処理半導体)への投資に集中していました。しかし2025年は、この投資が「インフラ構築」と「エッジデバイスへの実装」へと広がりを見せた年となりました。

米国企業(NVIDIA、Microsoft、Amazon)が主導する設備投資は、台湾のファウンドリ(TSMC)、オランダの製造装置(ASML)、そして韓国のメモリ(Samsung, SK Hynix)といったグローバルサプライチェーン上の重要企業に莫大な収益をもたらした。これにより、オルカンに含まれる情報技術セクター全体の利益成長率が押し上げられ、指数の上昇を牽引しました。

2.2.2 世界的な「ソフトランディング」と金融環境の緩和期待

2025年の世界経済は、インフレ率の低下と経済成長の維持を両立させる「ソフトランディング(軟着陸)」に成功したとの見方が支配的となりました。米国連邦準備制度理事会(FRB)をはじめとする主要中央銀行が利下げサイクルへの転換、あるいはその準備を進めたことで、株式のバリュエーション(PER等)の拡大が許容されました。特に、金利低下期待は米ドル高の修正を促し、ドル建てで評価される新興国株式のリターンをカサ上げする効果をもたらしました。

2.2.3 非米国市場における「構造改革」の結実

日本や韓国、一部の欧州諸国において、株主資本利益率(ROE)の向上や株主還元の強化(自社株買い、増配)を目指すコーポレートガバナンス改革が具体化しました。特に韓国の「企業バリューアップ・プログラム」や日本のPBR(株価純資産倍率)改革は、海外投資家の資金を強力に呼び込み、万年割安(ディスカウント)状態にあったこれらの市場の再評価(リレーティング)を引き上げました。

第3章 最大貢献企業と国:米国市場の牽引力

オルカン指数の構成比率の約6割を占める米国市場は、依然としてパフォーマンスの核心部分を担っている。2025年も「Magnificent 7(マグニフィセント・セブン)」と呼ばれる巨大テック企業群が市場をリードしたが、その中身には変化が見られました。

3.1 米国企業の貢献度詳細分析

MSCI ACWIのパフォーマンスに対する米国企業の寄与度は依然として圧倒的です。特に以下の企業群は、指数の上昇に対して数ポイント単位での貢献を果たしています。

  • NVIDIA (NVIDIA Corporation)
    • 貢献度: 全世界で最もACWIの上昇に寄与した銘柄。構成比率は約4.66%に達し、単独で指数のリターンを大きく押し上げました。
    • 要因: AIデータセンター向けのGPU需要が衰えることなく、次世代チップ「Blackwell」等の投入により収益見通しがさらに上方修正されました。AIが「実験」から「実装」へ移行する中で、同社のハードウェアは社会インフラとしての地位を確立しました。
  • Apple (Apple Inc.)
    • 貢献度: 構成比率4.49%。
    • 要因: 生成AI機能「Apple Intelligence」を搭載したiPhoneの買い替えサイクルが本格化したこと、およびサービス部門の収益が安定成長を続けたことが評価されました。AIを消費者の手元(エッジ)に届けるプラットフォーマーとしての期待が株価を支えました。
  • Microsoft / Amazon / Alphabet
    • 要因: これらクラウドハイパースケーラー3社は、AIインフラへの巨額投資を継続しつつ、AI機能を組み込んだソフトウェアやクラウドサービスの収益化(マネタイズ)に成功し始めました。特にMicrosoftはCopilotの普及、AmazonはAWSの成長再加速、Alphabetは検索広告とクラウドの両輪が機能し、安定した株価上昇を見せました。

3.2 米国市場におけるセクターローテーション

2025年の米国市場の特徴は、テクノロジー一辺倒からの脱却の兆しが見られたことである。AI電力需要の増大を見越した公益事業(Utilities)や、データセンター建設に関連する資本財(Industrials)セクターもアウトパフォームしました。これは、AI相場が「ハードウェア」から「インフラ・エネルギー」へと裾野を広げたことを意味し、オルカン指数の安定性に寄与しました。

では、次の記事では「米国以外の国々編」を書いてみます。また、今回の分析に使ったHPは以下の42のサイトなどになります。

免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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